「ローカル路線バス乗り継ぎ旅」を視聴する度に、
太川陽介はアンガーマネジメントの講演とか出来そうと思うのは小生だけかしら(^_^;)
アノ蛭子さんの周囲の人をイライラさせる言動に対するアンガーコントロールはお見事!

○○術や××力といった類いの書名のビジネス書は、
どうにも胡散臭く(←偏見です)、小生は手を出さないことにしてる(^_^;)

あ、でも、ビジネス書じゃないけれど、
植森美緒『腹だけ痩せる技術』(メディアファクトリー新書,2012)
は試しに借りたら説得力があり、実践したところ効果覿面だった(←個人の感想です)(^^)v

つい新聞広告で使われていた画(マンガの一コマ)に惹かれて(←馬鹿です)、
石田淳[じゅん](著)temoko(作画)『マンガでよくわかる 教える技術』(かんき出版,2015)
を予約までして借りちった(^_^;)

そもそも『マンガでわかる・・・』といった類の入門書・解説書は、
たいてい挿絵が並んでいるだけで、やたら説明的台詞も多いし、
マンガの体をなしてないパターンの本ばっか(`^´)

今年、借りて読んだのでは、
魚住和晃編著『マンガ 書の歴史 殷~唐』(講談社,2004)
   同     『マンガ 書の歴史 宋~民国』(講談社,2005)
画は下手だし(←失礼です)ほとんどマンガになってなかった(+_+)
両書から色々と学ぶことはあったけどねm(__)m

書とマンガと言えば、米芾を特集した墨229号(2014年7・8月号)に載ってた
企画記事「書道マンガ・アニメのいま!」で紹介・推奨されていたため、
速攻で探しに行ったら、運良くブックオフで買えて、読んだらメチャ良かったのが、
佐々木泉『墨戯王べいふつ』(小学館ビッグコミックス,2004)(^^)v
夏目房之介も『とめはねっ!』「なんかより全然面白いけどなぁ」と絶賛してた(^_^;)
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2010/03/post-6a0f.html
各話どれも良かったけど、「蘇東坡」と題した話は、佐々木泉に最敬礼だよm(__)m
戴嵩の牧牛図の贋作(実は米芾による模本)をめぐるドタバタ話なんだけど、
おそらく佐々木泉が参考にしたであろう元ネタの逸話(『清河書画舫』酉集)は、
塘耕次『米芾~宋代マルチタレントの実像』(大修館書店,1999)26~27頁が紹介してて、
実は米芾の失敗談(ネタバレになるので書けぬ)なんだよね。そのシチュエーションを逆にし、
蘇軾まで絡ませて巧いストーリーを創作した佐々木泉はマンガ家として只者じゃないよ(^^)
どのキャラも立ってて、特に芸術バカ皇帝の徽宗が好いし、女性キャラも可愛い。
こんな傑作マンガが絶版品切で埋もれてるなんて、「とかくこの世はままならぬ」だ(;_;)

話が逸れたが、管見によれば、マンガとしてストーリーも成立し、
マンガの部分だけを読んだとしても、ちゃんと入門書・解説書になっていたのは、
高橋信(著)トレンド・プロ(マンガ制作)『マンガでわかる統計学』(オーム社,2004)
ぐらい(^^) 勿論、小生が知らないだけで、他にもあるんだろうけど。

さて、本書だが、マンガと文章(著者解説)が上手く融合してて、非常に良かった(^^)
各章のマンガの後の解説文は、マンガでの説明を深く詳しく解説 or 補足しているし、
マンガの中の一コマを取り上げて解説するコラムもあって、よくマンガが生かされてた。
また「はじめに」(本書5頁)で著者が断っているように(原文は太字で強調)、

  ・・・もちろんマンガの部分を読むだけでもOK。

本書は実際ちゃんとマンガになってたし、マンガ部分の解説だけでも本書はほぼ理解できた。
唯一「MORSの法則(具体性の法則)」が、マンガに登場しながら(本書75,76頁)、その説明が
マンガ内ではされず、マンガの後の解説文(本書88~92頁)で行われてたので、「ほぼ」(^_^;)
また本書142頁のマンガで主人公の新米店長・凛が中途社員・乙葉に対し「うん、今の接客対応
すごくよかったよ!」と褒めているコマだが、本書155頁の説明の通り、上司からの「ほめられた
/評価された」が「強化(ごほうび)」となり、部下が「望ましい行動」を繰り返すようにする
ためには、例えば、「ちゃんと30度の角度でお辞儀をし、お見送りをしてて」(本書57頁参照)
という風に「望ましい行動」が出来てた点を具体的に指摘して褒めるべきだったのでは(^_^;)
なお、第3章の「小さいことでも成功体験を積ませることが大切」を解説しているマンガ部分
(本書109~110頁)は、第2章のマンガの「スモールゴール」(本書77~78頁)の説明に使えば、
ヨリ理解し易かったのではと小生などは愚考します(^_^;) あと本書140頁4コマ目の凛の台詞

  重要でない行動を一生懸命教えても意味ないですもんね!

これは「メジャーメント」の話ゆえ、「教えて」は「数えて」の誤植かと(第6刷だが)(^_^;)

本書は行動科学によるマネジメントを説いており、著者提唱の「行動科学マネジメント」は
行動分析学という心理学が基になってる由(本書26頁)。行動主義心理学のレヴェルでならば
一通り知ってるから、本書の説明もスムーズに頭に入り、腑に落ちた(←明治時代です)(^^)
だから、本書で紹介・解説された法則、技術等はどれもナルホドで、大変勉強になったm(__)m
本書が紹介する「視覚支援プログラム」を実践するために、先ずはイラストの勉強をせねばと、
神吉&くろば&白玉団子『萌えキャラの上手な描き方』(誠文堂新光社,2008)を予約(^_^;)

最後に、気になった点(^_^;)

行動分析学の理論や法則は科学的なもので再現性があるとして、本書の「教える技術」は、

  つまり「いつ・誰が・どこで」やっても、同じ結果が得られるということです。

と本書27頁は太字で強調するけど、実際には〈誰がやっても同じ結果が得られる〉とは
思えないのだが(..) 本書の「教える技術」も人によって効果は異なるのではないかな?
現に本書にも「教える技術」から属人性を排除できないことを認めるような記述が(^_^;)
例えば、本書118~119頁のマンガでの凛とエリアマネージャー・糸数との会話でも

  凛  それに何と言ってほめたり叱ったりするかより
     「誰が」言うかが重要ですし・・・

  糸数 「誰が」って・・・?

  凛  ふだんから自分の行動をきちんと評価してくれている人から
     ほめられたらうれしいですけど
     嫌悪感を抱くような相手だったらほめられても気分がよくないですよね。

  糸数 そうね・・・

このマンガの後の解説文(本書132頁)でも太字で、

  そして凛さんの言葉通り、〝誰がほめるか〟〝誰が叱るか〟ということも重要

としてるし、また本書64頁の「部下に自分の失敗談を話そう」と題したコラムでも、

  そうすることで部下や後輩に「自分と一緒なんだなぁ」という共感が生まれ、
  それによって上司からの指導や指示をスムーズに受け入れる環境ができあがります。  

そもそも〈誰がやっても同じ結果が得られる〉ような教育や指導の技法なんかあるのか?
多くの分野で用いられている、ある認知行動療法が、小生の研究領域でも定着してるけど、
その技法は理論に基づいた指導の流れがきちんと決まってて、構造化されたプログラムも
あるから、そのマニュアルやテキストを読むと、素人の小生でも出来そうな気になる(^^)
でも、同技法による指導を丸々1コマ見学させて頂いたことが何回かあるが、やる人に
よって差を感じたね(その効果が実際にあったかは未確認だが、別の調査で同技法の効果
をまじまじと実感させられた[←誤用?]ことはある)(+_+) 初見学が業界では「名人」と
呼ばれる人による〈名人芸〉だったため、その印象が強すぎて他の人のを厳しく見ちゃう
きらいはあるけど、ある施設のは素人目にもイマイチで御本人も夜の懇親会で自らの不甲斐
なさに落ち込んでたぐらいだった(^_^;) 名人芸を生み出す「コツ・カン・センス」を分析し
そのマニュアル化が出来るとも思えないけど、向山洋一の本とか読めばいいのかしらね(..)

[追記]
アンガーマネジメントの参考になるかと読んでみたら、それはさておいても好著だったのが、
太川陽介『ルイルイ仕切り術』(小学館,2014)(^^) 加えて、インタヴュー手法に関しても、
2つほど参考になるところがあったので、それぞれ内容的に関連する記事に追記した(^^)