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駒田信二『中国妖姫伝』

どこまでが正史や史書に基づいてて、どこからが稗史に拠るものなのか、
そもそも史伝なのか小説なのかも定かではない一篇もあったけれど、
駒田信二『中国妖姫伝』(講談社文庫,1979)は楽しく読めた(^^)

前回取り上げた本が「実話や逸話」を創作・捏造していたため、
予定外の本を更に何冊も読む羽目となり(おかげで追記は4回にも及んだ)、
気象関係(自然タグ)の本に関しては正直なところ今は辟易している状況(+_+)
本来取り上げる予定だった金子史朗の好著『世界の大災害』は後日に廻すことにし、
現実逃避も兼ねて、読書の愉悦を只管満喫するためだけに数冊ほど読み耽ってた(^^)v
最後まで楽しみながら読了したのは、既に別記事の末尾に追記したものを除けば、
〇松本清張『梅雨と西洋風呂』(光文社カッパ・ノベルス,1971)で、
駒田による本書もその一つ(^^)

本書の目次をメモると、

夷狄の妖花~驪姫(晋)
株林の妖姫~夏姫(陳)
邯鄲の妖媛~朱太后(秦)
衅られた女権~呂太后(漢)
洛神の賦~甄宓(漢)
則天楼の妖帝~則天武后(唐)
楊貴妃妖乱~楊貴妃(唐)

7篇だが、巻末の著者自筆年譜の昭和47年に別冊小説現代に「六回」連載とある謎^_^;

全員有名な女性だし、その生涯は小生も知ってたが、初見のエピソードもあり楽しめた(^^)
ただ、甄宓の一篇は創作・小説だよね(^_^;) ストーリーが良かったから、いいんだけど(^^)
なお、wikiの「曹叡」(魏の明帝)の項を一応見たら、「袁紹の孫」説が紹介されてた^_^;

論うつもりは全くないが、気になった点を一応挙げておくと、

本書60頁

  孔寧と儀行父も・・・間もなく変死した。鄭の公子蛮からかぞえて、夏姫の七、八番目の
  犠牲者になったわけである。

駒田信二『夏姫物語』(徳間文庫,1991)215頁にも、これと類似の記述があるんだけど、
夏姫と関係を持った犠牲者は、公子蛮、鄭の霊公(公子夷)、夏御叔、陳の霊公の次となる
孔寧と儀行父は5、6番目になると思うのだが(..) 関係は持たなかったけれど(当たり前だが)、
夏姫のことが契機となって殺された泄冶と夏徴舒の2人も犠牲者に含めてるのかしら(^_^;)

本書238頁

  太子興(後の粛宗)はしばしば玄宗を諫め、・・・

本書を読んでりゃ気付くけど、太子璵(後の粛宗)の誤植だろうね。

[追記161203]

下記のようなコメントを頂戴し、御教示頂いたので、とりあえず
駒田信二『言葉と鋏~漢字読み書きばなし』(文藝春秋,1986)を借りて、
同書所収の「海賊版中国妖姫伝」を読んだ(^^) 興味深いのは、

同書160頁

  私の『中国妖姫伝』はエンターテインメントとして書いたものだが、
  作品の形は史伝ふうで、従って文体もわざと硬くし、
  随所にしかつめらしく史書からの引用をさしはさんでいる。

同書162頁

  私の『中国妖姫伝』は小説だから、歴史上の実在人物の中にまじって、
  ときには私がつくり出した人物も登場してくるのである。

本書再読の際は、著者が「つくり出した人物」を見極めながら読まないと^_^;

コメントして下さった方、御教示ありがとうございましたm(__)m
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コメント 2

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駒田信二「漢字読み書きばなし」の海賊版中国妖姫伝をお読みください。
by お名前(必須) (2016-11-29 21:42) 

middrinn

御教示ありがとうございますm(__)m
とりあえず同書の単行本を図書館で予約したので、
読んでみたいと思います(^^)
また今後とも色々と御教示頂ければ幸甚ですm(__)m
取り急ぎ、御礼までm(__)m
by middrinn (2016-11-30 15:47) 

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